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住宅ローンの金利は固定?変動?

2020.07.06

A子さん夫婦は念願のマイホームを購入することになり、住宅ローンをどうやって組めばいいのか悩んでいました。そこで、いつも相談に乗ってもらっているFPの石井順子先生に教えてもらうことにしました。

A子さん:
いよいよマイホームを買うことにしたのですが、住宅ローンのことがよくわかりません。金利タイプがいろいろあるようですが…
先生:
マイホーム購入は大きな買い物になるので、住宅ローンについてきちんと理解、選択しないといけませんよね。まず住宅ローンの金利タイプについて説明しますね。金利タイプは主に3種類あります。
 
・全期間固定金利型…借り入れ時点の金利が返済期間中適用され、金利が変動しない。

・固定金利選択型…借り入れ後、5年、10年などの一定期間、借り入れ時点の金利が適用され、期間終了後に変動金利か固定金利を選択できる。

・変動金利型…一定期間ごとに金利が見直され、返済期間中に金利が変動する。
A子さん:
いろいろあると迷ってしまいます。私たち家族にはどの金利がいいのでしょうか?それぞれのメリット、デメリットを教えていただけますか?
先生:
そもそも住宅ローン金利は、景気や国の政策金利などが影響しているため、今後、金利がどうなるかははっきりしたことは誰にも言えません。今は金融緩和・マイナス金利政策が影響し、住宅ローン金利も超低金利といわれています。景気回復の見えた少し前は金利が上昇するといわれていましたが、新型コロナウイルスの影響もあり、まだまだ低金利は続くと思われます。金利に関しては自分でコントロールできないものなので、慎重に考えてくださいね。

全期間固定金利型は、借入時に総返済額が確定しますので、ライフプランが立てやすいともいえます。今後、市場金利が上昇しても、金利は固定されているので、返済額が上がることもなく安心なところがメリットです。反対にデメリットは、借入時よりも金利が低下した場合、変動金利に比べると返済額が多くなることです。

変動金利型は、借入後に市場金利が低下すれば返済額が減少するというメリットがあります。ですが、先ほどの固定金利と逆で、市場金利が上昇すれば返済額は増加します。また、総返済額が確定しないので、ライフプランは立てにくくなります。金利の上限はないので、金利が高騰した場合、毎月の返済可能な金額を超えてしまい、返済期間終了後に借入金が残ってしまう不安もあります。

固定金利選択型は両方の影響を受けますね。固定金利上昇の影響を受けない代わりに、金利低下の恩恵を受けられません。固定期間が終わると優遇金利も終わり、金利が大きく上がる可能性が高いです。

今後ずっと低金利が続けば変動金利のほうがお得、将来的に金利が上昇していく傾向なら固定金利がお得です。最初に言った通り、金利の未来は誰にもわかりません。ただ、一般的な住宅ローンの返済期間が最長35年ということを考えると、現状のように低金利が継続するという考え方も難しいような気がします。固定金利を選択しても1%台であれば十分低いと思います。万が一健康を害したり、失業したりすればローンの借り換えも難しくなります。安心を重視するなら全期間固定金利がいいでしょう。
A子さん:
今は低金利だから変動で借りていて、金利が上昇しそうになったら固定金利に借り換えするというのはどうでしょうか?

先生:
そのようにうまくいったらいいのですが、そう簡単にはいきません。ローンの仕組み上、変動金利が上昇する前にすでに固定金利が上昇しています。
A子さん:
結局、我が家に向いている金利タイプはどれでしょう。
先生:
お子様もまだ小さいので、今後の教育費などの出費も考えて、ライフプランが立てやすい全期間固定金利をお勧めします。こちらだと金利上昇にも慌てなくていいですね。

当初固定期間が続く固定金利選択型も、金融機関で優遇金利を適用している場合が多く、共働きで返済にゆとりがあるならこちらもいいかもしれません。

変動金利が向いている方は、金融資産などに余裕がある、共働きなどで家計に余裕がある、という方です。金利上昇時には繰り上げ返済で対応もできます。お子様が小さく、教育資金が大きくかかる予定がある方には不向きかもしれません。変動金利で返済に余裕がある時期は、将来の金利上昇に備え、毎月一定額を貯蓄や投資等できちんと準備してほしいですね。変動金利で借りるなら、たくさん借り過ぎず、余裕を持つことが大事です。
A子さん:
よくわかりました。もう一度しっかり夫と相談してみます!

  • Profile
  • ファイナンシャルプランナー
  • 石井 順子(いしい  じゅんこ)
    三菱銀行、日興コーディアル証券、日本生命での勤務を経て、独立系ファイナンシャルプランナーとして2007年11月より開業。銀行、保険会社、証券会社勤務の経験を活かし、どこの金融機関にも属さない、中立・公正の立場をとっている。得意分野は家計見直し、資産形成、生命保険。新潟市を中心に活躍中。
   

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