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節税非課税制度の違いと投資信託の選び方を教えてください!

2020.05.07

Q.初心者には、投資先を分散し、少額ずつ積み立てながら投資する方法が向いているようなので、少額の投資信託から始めてみたいと思います。調べていくとNISAやiDeCoなど節税になる非課税制度があるということを知りました。非課税制度の違いと投資信託の選び方を教えてください。

A.少額の投資信託から始めてみるのは良いアイデアだと思います。

投資信託はたくさんの投資家から資金を集め、そのお金を運用の専門家が株や債券など様々な資産で運用する投資のパッケージ商品です。特別な経験がなくてもプロの運用成果(もちろん投資商品ですので運用成績によっては元本割れとなるリスクもあります。)を享受できるので、初心者向けといえるでしょう。
NISAやiDeCoなど投資信託を投資対象とできる非課税制度は、2020年現在でNISA、つみたてNISA、ジュニアNISA、iDeCoの4種類があります。それぞれ違いを見ていきましょう。

           
NISA
対象者 1月1日現在で20歳以上の国内居住者
投資対象 上場株式、公募株式投資信託、ETF、J-REIT
非課税制度ポイント 年間120万円までの投資に対する運用益が5年非課税になる
資金の引出 いつでも引き出せる
その他 1人1口座のみ
つみたてNISAとどちらかを選択
つみたてNISA
対象者 1月1日現在で20歳以上の国内居住者
投資対象 一定の要件を満たした公募株式投資信託、ETF
非課税制度ポイント 年間40万円までの投資に対する運用益が20年間非課税になる
資金の引出 いつでも引き出せる
その他 1人1口座のみ
NISAとどちらかを選択
ジュニアNISA
対象者 1月1日現在で20歳未満の国内居住者
投資対象 上場株式、公募株式投資信託、ETF、J-REIT
非課税制度ポイント 年間80万円までの投資に対する運用益が5年間非課税になる
資金の引出 原則18歳まで引き出せない
その他 2023年で廃止
iDeCo
対象者 60歳未満の公的年金加入者
投資対象 公募株式投資信託、預金、保険商品など
非課税制度ポイント 年金の加入区分により14.4万円~81.6万円までの投資に対する運用益が運用期間中ずっと非課税になる。投資した金額の全額が所得控除の対象になる。
資金の引出 原則60歳まで引き出せない
その他 老後資金積立には◎

節税効果だけ見るとiDeCoがおすすめですが、原則60歳まで引き出せないので、急に資金が必要になった場合に対応できません。
投資目的が老後資金準備に限られているなどの場合を除き、投資初心者が気軽に積立投資を始めるにはiDeCoは向かないかもしれません。
目的が特に定まっているわけではなく、投資初心者が気軽に長期投資を始める場合はつみたてNISAがおすすめです。
つみたてNISAは、膨大な数の投資信託のなかから、長期投資に向いている商品を金融庁が厳選してくれているところもおすすめポイントの1つです。

金融庁が厳選してくれているといっても150本を超える商品の中からどのようなポイントで商品を選んだらよいでしょうか?
以下の4つに着目して選択するとよいでしょう。
①運用方法
②投資対象
③信託報酬
④純資産総額

ここでは大きなリターンを得るということではなく、投資初心者がなるべくリスクを抑えて続けられる商品を選ぶ時のポイントをお話しします。

①運用方法…インデックスファンドの中から選ぶ。
投資信託は、運用方法の違いによって、大きく2つのタイプ<インデックス型、アクティブ型>があります。
インデックス型の投資信託は、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数を市場平均(ベンチマーク)として、その市場平均と同じような動きをする運用を目指すもので、インデックスファンドとも呼ばれます。また、アクティブ型の投資信託とは、市場平均よりも高い運用を目指すもので、アクティブファンドとも呼ばれます。
この2つのタイプの投資信託のうち、投資初心者に向いているタイプは、値動きが安定しやすく、低コストで運用ができるインデックスファンドといえるでしょう。

②投資対象国内外の資産に分散投資できるバランスファンドを選ぶ。
ファンドの組み合わせを考えなくても、いろいろな投資対象への投資が1本で完結するので、投資初心者にはお勧めです。

③信託報酬が年0.5%以下のものを選ぶ。
投資信託は保有するだけで信託報酬というコストがかかります。なるべく低コストのものを選びましょう。

④ファンド純資産総額が大きく資金流入が続いているものを選ぶ。
純資産総額とは、投資家から集めた資金の総額のことです。複数の株や債券などに分散投資する投資信託は、資産が大きい方が安全性が高くなります。また、資産流入が大きいファンドは、運用が上手くいき資産が増えたか、投資家から人気があり購入量が増えているかであるため、望ましい運用状況といえます。
ファンドの資産流入や純資産総額はファンドの健全な運営を示す1つの指標となります。

いろいろと書いてきましたが、この4つのポイントを自分の目で確認しながら、まずは少額からでもはじめてみること。時間を味方につけましょう。

  • Profile
  • 1級FP技能士
    CFP(r)認定者
    キッズマネーステーション認定講師
    住宅ローンアドバイザー
  • 山﨑 有希(やまざき ゆき)
    税理士事務所に所属、相続事業承継設計・ライフプラン・住宅資金設計など個人相談業務を担当。
    各種雑誌の監修、終活や相続などの講演も行っている。
    また保育士・幼稚園教諭の資格も保有。その知識を生かしFPとして子育てサークル・各種学校・PTAなどにおいて子供向けおかね教室、保護者向け金銭教育セミナー等も行っている。
    プライベートでは中学生と小学生の男の子の母。
   

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