マネーQ&A

住宅ローン、今まで通りの返済が難しくなりそう…

2020.06.05

Q.家計が苦しい、住宅ローンの返済が厳しい、なんとかならないでしょうか?

A.まずは、借入先の金融機関に相談しましょう。

念願のマイホームを購入した時は、返済が困難になることなど想像しなかったかもしれません。
今回の新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が停滞し、就労環境が悪化している今、多くの方が、大幅な収入減少や失業によって返済が困難になるという問題に直面しています。
まだ返済が滞るほど深刻な状況でない場合は、他の金融機関で金利が低いローンに借り換えて、返済の負担を軽減することができます。
でも、既に家計が逼迫し、返済日が目前の方は、延滞する前に是非借入先の金融機関に相談してください。

では、金融機関に相談するとどのような解決策があるのでしょうか。
金融機関では、このような相談に対して、返済期間を延長して毎月の返済額を減額したり、元金の返済を一定期間据え置きして利息のみの返済にする等の方法があり、親身に相談に乗ってくれます。
返済困難な状況が一時的で、数か月で元通りになる見込みなのか、失業して再就職先が見つかるまで長期化しそうなのかによっても解決策は変わります。

今回のコロナショックでは期間の予測は難しいですが、例えば、収入が減少したために、住宅ローンの返済とお子様の教育費の支払いが困難になってきたため、住宅ローンの返済期間を5年間延長し、返済額を減額するパターンを想定してみます。
2,000万円を年利:2.00%、返済期間:30年、元利均等毎月返済として借入れ、20年後に返済期間を5年間延長した場合のシミュレーション。年利は2020年5月1日現在のあんしん住宅ローンの全期間固定金利型生活応援金利を採用。

変更前
毎月返済額 約74,000円
変更後
毎月返済額 約52,000円

これはイメージで、ローンの内容によって返済の増減も異なりますが、一時的な収入減少や、出費が嵩む時期に返済額を減額することで、家計の負担を減らす方法です。
ただし、返済期間を延長して減額すると元金残高の減るペースが遅くなり、当初の返済額より総返済額が増加する点が要注意ですが、返済負担軽減には有効です。

期間を定めずに返済額を減額する方法は、借入期間の延長です。一般的に見直し後の返済期間は最長で50年、あるいは80歳までのいずれか短い期間になります(金融機関によって異なりますので、借入先金融機関で確認してください)。
借入期間の延長における注意点は、利息を含めた総支払額が増えてしまうことと、勤務先を定年退職する際の返済計画です。
 

ライフステージに合わせた保険の見直し

多くの企業で雇用延長等がありますが、給与が減額されると現役の時と同じ金額で返済することが困難になりますので、退職金で一部繰り上げ返済をするなどの対策も必要です。

ボーナスがなくなってボーナス払いができなくなったという方は、毎月分とボーナス分の割合を変更するという返済金額の組み直しができます。

 

以上のように、見直しの方法はいくつかありますが、返済額を減額して楽になったからといって気を抜かず、家計見直しや節約などで資金を貯めて繰り上げ返済をするなどの工夫も必要です。


ここで、延滞をした場合の様々なデメリットについてご紹介します。
延滞をすると、延滞した元金に対して日数分の延滞利息がかかります。金融機関によりますが、金利は概ね年15%前後です。
そして、延滞した情報は個人信用情報に登録され、新たにローンを契約したり、クレジットカードを契約することが出来なくなる等、支障が出ることがあります。そうなると、金利の低い住宅ローンに借り換えをしようと思っても、希望が叶わなくなります。
このように延滞は、延滞利息という余計な負担を負うだけでなく、自分自身の信用まで落としてしまいます。

家を建てる時、車を購入する時など、新たな借入の相談と違い、返済が困難な時は相談しづらいと思うかもしれません。
もしどうしても返済できないなら不動産を手放せば済むことですが、せっかくがんばって取得したマイホームです。もし苦しい状況に陥ったら、まずは借入先の金融機関に相談してみましょう。返済に関する不安や悩みにきっと寄り添ってくれるはずです。

  • Profile
  • ファイナンシャルプランナー
  • 石井 順子(いしい  じゅんこ)
    三菱銀行、日興コーディアル証券、日本生命での勤務を経て、独立系ファイナンシャルプランナーとして2007年11月より開業。銀行、保険会社、証券会社勤務の経験を活かし、どこの金融機関にも属さない、中立・公正の立場をとっている。得意分野は家計見直し、資産形成、生命保険。新潟市を中心に活躍中。
 

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