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積み立て投資を始めるうえで大事なことは?

2020.09.23

前回、老後資金のための積み立て投資について相談したA子さん。積み立て投資を始めるうえで大事なことや注意点について、今日もFPの石井順子先生に聞いてみました。

A子さん:
先生、先日はインデックスファンドやドルコスト平均法の説明、ありがとうございました。ところで「分散が大事」とよく聞きますが、それは商品についても同じでしょうか。

先生:
投資には価格変動によるリスクがつきまといます。投資をするときには、ひとつの金融商品だけに投資をするのではなく、複数の商品に分散投資してリスクを軽減することが大事です。さまざまな商品に資産を配分することをアセットアロケーションといいます。
A子さん:
資産の配分の仕方はどんな風に決めればよいでしょうか。
先生:
まず、ご自分の資産を安全資産と運用資産に分けてみます。安全資産は元本が保証されている預貯金や債券等、運用資産はリスクのある株式等です。
今回は老後に向けた資産形成です。スタートしようとしている積み立て投資のほかに、預貯金や債券等、自分にどんな資産があるか整理してみてください。
老後に向けた資産形成は運用商品の配分を多くするのが一般的ですが、すでに行っている安全資産を確認し資産を配分することで、より安心して積み立て投資がスタートできると思います。
A子さん:
私のような初心者はどのような商品で積み立て投資を始めたらよろしいでしょうか。
先生:
積み立て投資は積極的に運用する株式で行うと効率が良いです。日本、アメリカやヨーロッパなどの先進国、アジアやアフリカなどの新興国等、世界中の株で構成されている投資信託です。
前回もお話しした通り、株式投資はハイリスク・ハイリターンな運用商品ですが、積み立て投資は変動の大きい方が運用成果が上がるとされているため、少額の資金でもたくさんの国のたくさんの会社に投資できる商品がおすすめです。
A子さん:
わかりました。商品を選ぶときの注意点などはありますか。
先生:
投資を始めるうえでは、税金に目を向けることも大切です。一般的な商品は利益に20%課税されます。株式投資も通常は20%の課税です。税金はコストとも言えます。
税金面で優遇されている制度として、「つみたてNISA」、「個人型確定拠出年金iDeCo」、生命保険の「変額保険」があります。

それぞれの制度の優遇内容をご説明します。

「つみたてNISA」は最長20年間運用益が非課税です。

「個人型確定拠出年金iDeCo」は掛け金が全額所得控除の対象となりますし、積立金の運用益も非課税となります。また、受取時は受取方法により退職所得控除や公的年金控除の税制優遇措置が受けられます。現在の加入対象は60歳未満ですが、加入年齢は延長されていく予定です。

「変額保険」は受取時に一時所得扱いになり、利益から特別控除50万円を差し引き、その半分だけがほかの所得と合算されて課税されます。運用期間は保険期間に準ずるので終身や80歳など長期の運用が可能です。

A子さん:
節税しながら運用できるなら良いですね!
先生:
「つみたてNISA」の対象商品はほとんどがインデックスファンド(インデックスファンドについては前回のコラム参照)です。「個人型確定拠出年金iDeCo」と「変額保険」はインデックスファンドだけでなく積極運用のアクティブファンド(株価指数等の動きを上回る投資成果を目標とする積極的な運用方法)もあります。
人生100年時代、老後は長いです。運用期間を考慮して、いろいろな商品を組み合わせることがお勧めです。それぞれの商品を取り扱っている金融機関にアドバイスをお願いしてもよいでしょう。
A子さん:
わかりました。税制優遇も考慮して、自分に合った商品の組合せを探してみます!

  • Profile
  • ファイナンシャルプランナー
  • 石井 順子(いしい  じゅんこ)
    三菱銀行、日興コーディアル証券、日本生命での勤務を経て、独立系ファイナンシャルプランナーとして2007年11月より開業。銀行、保険会社、証券会社勤務の経験を活かし、どこの金融機関にも属さない、中立・公正の立場をとっている。得意分野は家計見直し、資産形成、生命保険。新潟市を中心に活躍中。
   

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