マネーQ&A

積み立て投資を始めるなら?

2020.09.07

老後資金のことを考えて、積み立て投資を始めてみようと思ったA子さん。そこで前回、投資について相談したFPの石井順子先生に、詳しく教えてもらうことにしました。

A子さん:
先生、先日はありがとうございました。あれからいろいろ考えて積み立て投資を始めてみようと思っています。初心者にお勧めの商品はどんなものか教えてください。
先生:
前回お話しした通り、老後資金目的の長期積み立て投資なら、成長する資産、株式がいいでしょう。株式投資は値動きが大きく変動しますし、ハイリスクハイリターンな運用商品ですが、積み立て投資は変動の大きいほうが運用の成果は上がるとされています。
少額の資金でも、たくさんの国のたくさんの会社に投資できる株式投資信託はいかがでしょうか。投資信託(ファンド)とは投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用のプロが投資・運用する商品です。

A子さん:
初心者にお勧めの株式投資商品はありますか?
先生:
株式投資の中で、初心者にお勧めなのはインデックスと呼ばれるファンドです。インデックスは日経平均株価など指数(インデックス)の動きに連動されるよう運用されています。様々なインデックスファンドでも目標の指数が同じなら運用の内容もほぼ同じです。インデックスファンドは特定の指数への連動を目指しているので、運用のプロの努力は必要なく、運用のコスト(信託報酬:ファンドの運用・管理の報酬として投資信託を保有している間、信託財産から差し引かれる費用)が低く抑えられています。できるだけコストが安いものがお勧めです。
また投資信託の規模(純資産総額)にも気をつけてください。投資信託は、長期で運用したいと思っても、「繰上償還」といって投資信託会社の都合で強制的に償還させられてしまうことがあります。信託報酬は投資信託会社、販売金融機関、受託銀行でシェアしますが、インデックスファンドのコストは低く抑えられているため、規模の縮小で赤字が続くという状態になり、その結果繰上償還を迎えます。繰上償還のリスクを回避するには純資産残高が大きく積み上げられているものを選択すると良いでしょう。
世界中の株式に投資している全世界株インデックスファンドで、信託報酬が安く純資産総額が大きなものがお勧めです。
A子さん:
探してみます!
それと、ドルコスト平均法という言葉をよく耳にしますが、メリットやデメリットが知りたいです。
先生:
前回お話した時間分散の積み立て、定時定額投資のことをドルコスト平均法といいます。積み立て投資は価格が高い時は少なく、価格が安い時はたくさん買えます。長期にわたりたくさんの量を蓄えると、投資信託の基準価格がそれほど思わしくなくても大きな成果が期待できます。
一方、一括投資ではスタートの価格よりゴールの価格が高くないと利益が出ません。投資信託の選び方が重要です。
積み立て投資は長期で運用することで成果を期待できることがメリットです。
逆にデメリットは、購入した投資信託の基準価格がずっと上昇し続ける場合です。この場合は一括投資のほうがたくさんの成果を出すことができますが、現実的にはなかなかあり得ませんね。この先の世の中、何の不幸もなく、ハッピーな出来事だけが続くなんて考えられないからです。

A子さん:
ホント、そうですね。山あり谷ありだから人生面白いです。
今日はありがとうございました。

  • Profile
  • ファイナンシャルプランナー
  • 石井 順子(いしい  じゅんこ)
    三菱銀行、日興コーディアル証券、日本生命での勤務を経て、独立系ファイナンシャルプランナーとして2007年11月より開業。銀行、保険会社、証券会社勤務の経験を活かし、どこの金融機関にも属さない、中立・公正の立場をとっている。得意分野は家計見直し、資産形成、生命保険。新潟市を中心に活躍中。
   

おすすめ記事