マネーQ&A

投資に一番大事なのは時間って、どういうこと?

2020.08.20

巷でいわれている老後資金問題が気になっているA子さん。自分も老後資金のために投資を始めようと思いました。そこでいつも相談に乗ってもらっているFPの石井順子先生に、投資について詳しく教えてもらうことにしました。

A子さん:
先生こんにちは。私も老後のことを考えて投資を始めようと思います。投資で一番大事なのは「時間」ってよく言われますがどういうことですか?
先生:
投資において重要なのは、コツコツと時間をかけてお金を育てることです。
成長が期待できる株式投資などは、予めどのくらい儲かるかは約束されていません。
景気が良い時は順調に成長しますが、市場にはいつも波があります。戦争や政治的な問題、災害や疫病の流行など、様々な出来事による市場の変動により、暴落・上昇を繰り返し成長します。
過去実績データから、短期と長期の保有で投資成果を比較すると、保有期間が長期になるほど元本を下回る確率は少なくなります。また長期になるほど、利息が利息を呼ぶ複利効果で大きく増やすことができるといわれています。
運用が上手くいかない時期があっても、時間があれば回復を待つことができます。時間は投資で一番大事といっても過言ではないでしょう。
A子さん:
銘柄を分散させるのが大事と聞きましたが、なぜでしょうか?集中させたほうがお得な気がしますが…。
「運用のよい投資」に集中させて投資した方が利益が大きいということでしょうか?
先生:
理論的には正しいかもしれません。ただし現実的には難しいです。そもそも「運用のよい投資」を探すのは難しいです。
とても期待できる会社があり、その株だけに集中投資していて、思いがけぬ出来事でその会社が倒産してしまったら、成果はゼロ、出資したお金は返りません。
「卵は一つの籠に盛るな」という欧米のことわざがあります。卵を一つの籠に入れた場合、落としてしまうとすべて割れてしまいますが、複数の籠に分散して入れておけば、一つの籠を落として卵が割れてしまっても、ほかの籠の卵は影響を受けずに済むという資産運用の教えです。
世界中の様々な会社に少しずつ投資をすれば、様々なアクシデントの影響を最小限に抑えることができ、運用を損なわず成長させることができます。
先生:
分散は銘柄だけではなく時間にも必要です。
スタート時点でまとめて購入する一括投資は、購入時より必ず値上がりしていなければ儲けを出すことができません。
一方で、購入時期を分散させるつみたて投資は、定時定額投資により、価格が高い時は少なく、価格が安い時は多く購入することができます。
投資の成果は基準価格(投資信託の1口当たりの値段)×量です。たくさんの量があれば基準価格が多少おもわしくなくても成果を出すことができるという理論です。
A子さん:
30代後半の私がこれから老後資金を貯めるのは遅すぎますか?
先生:
人生100年時代。公的年金も、近く75歳まで繰り下げることができるようです。
A子さんが元気で働き続けられるうちは、投資を続けて老後資金を育てることができます。そう考えると、あと40年近くありますよ。
長く運用を続けられる投資がお勧めです。
少額でもよいので一日も早くスタートすることが大事です。
A子さん:
教えていただきありがとうございます。まずは少額からトライしてみます。がんばります!

  • Profile
  • ファイナンシャルプランナー
  • 石井 順子(いしい  じゅんこ)
    三菱銀行、日興コーディアル証券、日本生命での勤務を経て、独立系ファイナンシャルプランナーとして2007年11月より開業。銀行、保険会社、証券会社勤務の経験を活かし、どこの金融機関にも属さない、中立・公正の立場をとっている。得意分野は家計見直し、資産形成、生命保険。新潟市を中心に活躍中。
   

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