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田中洋人建築設計室:リノベーションのすすめ

2020.10.05

前回の記事に続き、一般住宅をはじめ店舗設計も手掛ける田中洋人建築設計室(新潟市中央区)の田中さんのご自宅に伺ってインタビューを行いました。今回は、オシャレかつ実用的で、コストパフォーマンスも求められる店舗設計の視点から、住宅のリノベーションに使えるコツを聞きました。

Q1. カフェや店舗などの内装で、住宅にでも取り入れられるオススメのものはありますか

例えば照明を変えるだけで空間の雰囲気はがらりと変わります。我が家では裸電球を使っているのですが、既存のソケットに差し替えるだけで気軽にできます。
(画像:THE COFFEE TABLE

Q2. リビングやキッチンをカフェのようなオシャレな空間にしたいのですが何かポイントはありますか?

抽象的ですが「既視感」のある空間づくりから距離を置いてみることでしょうか。例えば、我が家のダイニングには、冷蔵庫がありません。ダイニングの隣の脱衣室に洗濯機と並んで置いてあります。「生活」を感じるものの設置場所を少し変えてみることで、空間の印象は変わってきます。

既存のシステムキッチンを入れないのも雰囲気を大きく変える要素になると思います。ネットで調べれば天板やシンクなども安価に手に入ります。大工さんや工務店にイメージを伝えることができれば、自分の好きなスタイルを実現しながらコストも抑えられるかもしれません。

Q3. リノベーションのコツはなんでしょうか?

リノベーションで大切にしていることは、素材の魅力を生かすことです。既存住宅は造りや間取りは既に決まってしまっていますが、そこに自分のライフスタイルをいかに組み込んで形にしていくかが楽しいところです。

新築のようにゼロから創るとなると、気負ってしまいがちですが、出来上がったらそれで完成ということではなく、自分たちの暮らし方に合わせて少しずつ改装していくような身軽さを持って取り組んでいくことが大切なポイントだと思います。

Q4. 田中さんが手がけたリノベーションの工夫について、実例を交えてお聞きします

1.THE COFFEE TABLE
事務所だったテナントをカフェに改装しました。天井や壁、床は施主様も交えて塗装を施しました。さらに黒いタイルも自主施工で仕上げました。材料や工具は、ホームセンターやネットで調達できるので、それをフル活用しました。
(画像:THE COFFEE TABLE

2.パティスリーソランジュ
美容室だったテナントをフランス菓子店に改装しました。壁の塗装は自主施工で、天井にはアルミホイルを貼っています。

身近な材料を建材に転用した例としては面白いかもしれません。
(画像:パティスリーソランジュ

3.杉崎基礎株式会社・杉崎リース工業株式会社

工場だった建物の一角を事務所に改装しました。改装の際に取り外した外壁を再利用して、新しい材料と組み合わせています。新しいものと古いものを混在させることで、リノベーションによる変化や建物の魅力を引き出しました。工事で使う足場材を収納の一部として使うなど、機能性や見た目の面白さにも気を配りました。
(画像:杉崎基礎株式会社・杉崎リース工業株式会社

4.N様邸
住宅のリノベーションです。和室2室続きだった部屋の天井を解体して梁(はり)を見せるデザインに、畳は足場板に入れ替えました。障子も取り外しを考えていたのですが、空間に似合っていたのでそのまま残しました。

取材協力

田中 洋人(たなか ひろと)
新潟市中央区の医学町ビルに事務所を構え、新潟県内の住宅や店舗の設計を手掛ける。

会社名  田中洋人建築設計室
電話番号 080-5465-8059
住所   新潟市中央区医学町通1番町41 医学町ビル3F
HP    
tanakahiroto.com

   

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